昨年の2023年、チャットGPTのような生成系AIがちょっとした話題となった。教育現場でも、AIの影響は心配されたようだが、幸い私としては、特に問題になるような事は今のところはないように思う。一方、AIについて世界的には様々な議論があり、中でも目を引い…
海外を無視して国内に限定すれば、国内の政府が金融的に赤字なら民間が黒字であるのは、あまりに当たり前のことであり、本来取り立てて騒ぐことではない。黒字や赤字は、収支における正負を言い換えているに過ぎない(収支がマイナスの場合に赤字で書いたこ…
日本で内閣府、財務省、日本銀行の間で物価目標の政策協定が結ばれてから間もなく10年になる。物価目標協定は、行政府(政権)と中央銀行の間で物価について何らかの約束をするものだが、しかしそうすることで、どのような効果があると考えられているのか?…
日本ではこれまで長きに亘って物価が動かないこと(少なくとも上昇しないこと)が話題だったが、だからと言って今後もインフレが起こらないとは限らない。一年前はまだ、欧米のインフレがまだ対岸の火事のように感じていたが、ロシアのウクライナ侵攻からエ…
小宮隆太郎教授が先月ご逝去されました。哀悼の意を表しますとともに、心からご冥福を祈りたいと思います。 直接の面識がない私でも、小宮教授から影響を受けていることを断言できます。小宮教授は第一次オイルショック後のインフレに関して、日本銀行の政策…
日本でも今インフレが話題となっている。最近までは、物価が僅かであっても下がればデフレだと大騒ぎになり、物価目標が政府と日銀の間の政策協定となって日銀が2%インフレを目標と定めてからは、目標以内の低位安定が問題になった。そして、最近その目標2…
ここ数年、様々な記事や人々のコメントから、財政政策により注目が集まっているように感じるが、私が大学に入学して以来学んできた経済学の知識と照らすと、違和感持つことが大変多い。ここで、わざわざ大学に入学以来と断っているのは、入門あるいは初歩的…
2020年4-6月期GDPの第二次速報値によれば、前期比で約8%、年率換算で約28%減という結果だった。以前に『新型コロナ肺炎に見る感染症問題の理不尽さ - supplysideliberaljp’s blog』を書いた時には、この一年で一体どのくらいのGDPが失われるのか?2割くら…
日本のマイナス金利政策の問題(の一つ)を簡潔に言えば「やっていないに等しい」ことであり、また、その背景にはマイナス金利政策についての無理解があるのだろう。マクロ安定化政策として中央銀行がやることは金利誘導であり、誘導の利幅はその重要な構成…
感染症についてブログに書くのは、正直専門的な知識がないので少々気が引けるが、経済学の立場から書くべきこともあるかと思う。経済学の視点や用語などで問題点を挙げるなら、1)医療の供給サイドの問題と、2)感染拡大防止の個人の行動に分けてみたい。医…
年明け国会も始まり、枝野立憲民主党代表が代表質問において、実質賃金が低下していることを問いただしたのに対し、安倍総理大臣の答弁は「ことさら実質値の改善を持ち出すのはデフレを自慢するようなものだ。そろそろ、そのことに気付いた方がよろしいので…
今年2019年10月の消費税増税を前に、アメリカ・トランプ政権の通商外交政策から貿易摩擦が生じ、世界経済の行先、そして日本経済への影響が心配されている。オリンピック特需の終了もあり、消費税増税が実施される10月以降景気が悪化する可能性は高まりこそ…
最近、日本でもModern Monetary Theory(MMT)と呼ばれる考えが注目され、その提唱者の一人であるステファニー・ケルトン教授(ニューヨーク州立大学)が来日し、彼女の考えがメディアなどに取り上げられた。正直私はMMTがそれ程目新しい考えとは思わないが…
注:2020年9月に表6に生産性を加え加筆した。 最近は以前に比べて雇用の心配が減り、むしろ人手不足と言われ外国人労働者の導入まで議論されるようになった。この雇用状況の改善には黒田総裁以降の2013年に始まる金融政策(異次元緩和)の効果という主張が多…
2019年第1四半期のGDPは第一次速報値では実質プラス成長(季節調整、前期比0.5%)と発表され、第二次速報値は投資支出の上方改訂により更に若干の増加(同前期比0.6%)だった。第一次速報時、エコノミスト諸氏は一様に、このプラス成長は「輸入の減少が主…